第6回

夢叶えますキャンペーンの報告                      

                                    

                             鈴木明子                       


 まず、今回の当選者のお二人の印象からお話しましょう。
 女性の崔美玉さんは、中国の東北部出身の朝鮮族の方です。発想も ユニークなら、それを実現する技量も充分に持ち合わせた、非常にしっかりした優秀な方とお見受けしました。
 一方、男性の王宋響さんは、中国南部、福建省出身の漢民族です。父上は貿易会社を経営する方とか、日本にも仕事で来られるそうです。苦労知らずにすくすく伸びた(背丈も)といった印象のイケメンです。その母親思いの言動にも、そこはかとなく甘さがただよっていました。 面接の結果は崔さんは、全員一致の即決でした。王さんは異論もありましたが、心やさしい、まんまる会メンバーに押されて当選となりました。内容はそれぞれの報告書に譲ります。
 「夢叶えますキャンペーン」も始めてから約10年、その間,世の中の変化は激しく、応募者の意識も随分さま変わりしてきたように思えます.初期の悲壮感や切迫感は影をひそめ、何かゆったりした余裕さえ感じられるようになりました。中国やアジアの留学生の祖国が豊かになったからでしょうか。それはそれで嬉しいのですが、何かもの足りなさも感じない訳ではありません。
 どのような時代になっても、若者には悩みも,苦しみもあるに違いなく、また同時に夢や希望もあるはずです。それを率直に語って下さい。その中からささやかながら、行動が生まれれば、しめたもの。まんまる会では心を込めて応援したいのです。このキャンペーンがその様な形で発展していくことを、願っています。


2009年 第6回 「夢叶えますキャンペーン」の経緯
《両親の励ましのおかけて、努力を重ねた結果大学に入学し、そして「将来日中の架け橋になりたい」という目標を忘れずに、頑張り続けています。両親に恩答える思いをきっかけ、なりより日本で自分の成長した姿をみてもらいたい、そして、今自分の生活環境を実感し、安心してもらうためにも日本へ招きたいと考えました。   王 宗響》 

《去年横浜音頭に参加しました。会館のお母さんのお勧めで、私も民族衣装で参加しました。浴衣姿の中での外国衣装はとても目立ち、日本人の方々から声をかけられ、「これこそ国際交流だね」って喜んでくれました。来年は「中国+日本」の衣装を着て、みんなを喜ばせる「国際交流の場」を作りたい夢ができました。   崔 美玉》


以上が、今回夢をかなえた留学生の応募の文章の一部です。

王さんの《両親に日本での自分の姿を見せたい》という想いは、留学生なら誰もが抱く小さな夢でしょう。それでは動機としては弱いかなということで、お母さんにもまんまる会との交流に参加していただく、ということで決定しました。

夢を実現した後、2010年2月25日、かながわ県民センターで報告会が開かれました。

王さんの「母親への恩返しの旅」には大阪までのお母さんの旅費として15,000円、

崔さんの「チャイナドレスと浴衣をミックスしたドレス創作」には材料費として13,059円、

それぞれ支援しました。

崔さんは、日中韓のテイストを見事に融合させた美しい国際衣装を仕上げました。
衣装は、3月14日(日)かながわ県民センター「市民活動フェア2010」のまんまる会のブースに飾られ、来場した方々にお披露目されました。崔さんは当日のバザーのお手伝いにも参加してくれました。まんまる夢茶館にお茶を飲みに来てくださった方々から、衣装について、留学生活について、これからの夢について、たくさんの質問が崔さんに向けられ、会話が弾んでいました。

王さんのお母さんは、来日してすぐの12月27日、まんまる会との交流に参加してくれました。息子と並んでいる様子はまるで恋人同士のよう、若々しさに加え、喜びにあふれているようでした。息子を国外に留学させた時の気持ちを伺うと、留学や将来のことも本人の考えに任せている、と、さばさばした答えが返って来ました。それでも、日本での息子の様子を見て、話だけでは分からなかったことが分かって安心した、という言葉に、親としての本当の気持ちが窺えました。その後、年が明けてから二人で大阪へ、お母さんは途中体調を崩されたとのことですが、予定通り大阪から帰国されました。

報告書が出来上がりましたので、ぜひ、お読みください。          【後岡 和代】



発行者

まんまる会   小野京子  045-381-6972

http://www.geocities.jp/manmarumanmarukai/index1.html