通常、「対聯」(ドウイレン)とは、対になっている縁起のいい言葉のこと。また、その言葉を2枚の紙に書き分けて、玄関や壁などに左右に分けて貼ったもののことである。それは記録に残されたものだけでも、2000年あまりの歴史を数えるという。
「対聯」は中国の人々に日常生活の中で親しまれたものである。「対聯」にはおめでたい言葉が書かれ、その家の人びとの思いや願い、そのときの家族の状態があらわされる。道行く人びとは「対聯」を見ることによって、その家で結婚した人がいたとか、昔ならば、科挙の試験に誰かが合格したとか、いうことを知ることができた。
「対聯」のなかで特に春節(旧正月)に貼り出されるものを「春聯」とよぶ。一定の規則に従う句を三枚の赤い紙に書き、建物の入り口または部屋の中のメインな飾り場の両側と上に貼るものだ。右側に貼るのは「上聯」、左側に貼るのは「下聯」、上に張るのは「横批」と言う。「上聯」と「下聯」は言葉の意味が対照的になる対句であり、「横批」は対句の意味をまとめたり、他の意味に転じたりする短い一句だ。例としては、以下のようなものだ。
横批:萬事如意(全てのことがうまくいきますように)
上聯:一順百順千般順(一つが順調に、百が順調に、千の事が順調に)
下聯:人和家和萬事和(人が和やかに、家が和やかに、全てのことが和やかに)
「春聯」は人々の願いを表しているとともに、魔よけの効果があると信じられている。最近では中国の都市のスーパーやデパート、村の市場で印刷された「春聯」や「対聯」が売られている。春節が近くなると赤地に金字で印刷された「春聯」が店先にぶら下げられる光景も珍しくなくなってきた。とはいうものの、まだまだ「春聯」を自分の手で書く人は多い。多くの場合、一家の主が春節を前にして、次の年への希望をこめて墨筆で成句や自ら考えた文言を紅色の紙にしたためていくのである。
春節(旧正月)用の「対聯」は「春聯」と呼ばれて有名だが、それ以外にも、祭日用の「節日聯」、業務用の「行業聯」、住宅用の「居室聯」、婚姻や慶事の「喜慶聯」、ほかに「風景聯」「名勝聯」、海外で使われた「海外聯」などのものもある。「対聯」が、ただ言葉を並べればいいのではなく、そこには一定の規則があり、それを守らなければ意味をなさないのだ。
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