今年はまんまる会創立十周年にあたります。「よくまあ続いたもの」との感慨を覚えますが、これもひとえに通信をお読み下さる皆さまはじめ多くの善意の方々に支えられたおかげと感謝の気持ちでいっばいです。メンバーも当初の五名は欠けることなく新しい仲間も加わり和気あいあいとやっています。
ところが昨今いささか疑問の声も上がり始めました。
「従来通りの”バザーと交流会”でいいのだろうか?」
十年一昔と申しますが、確かに世の中の移り変わりは激しく、留学生を取り巻く環境も経済事情も大きく様変わりしました。ここらで一つ現状を把握し直し、活動方針をねり直してみてはと考え、運営委員を中心に次の会を催しました。
「留学生と語る会」
日 時 1996年11月7日(日)
場 所 かながわ県民センター
出席者 中国の方7名、まんまる会員12名。
当日欠席の元留学生数名からは書面、ファックス、電話等でご意見が届きました。中の二、三は別頁で紹介します。同時に、出席者の発言も少しビックアップしてみました。
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廖捷凡さん
小野さん 丸谷さん
留学生と語る会一参加者の声から一
日本についたばかりの留学生
- 戸さん(女)―衣服には問題がない。
- 李さん(女)―仕送りでなんとか足りる。
- 余さん(女)―日本に親戚がいる。
- 元留学生廖隆幹さん(男)一国費留学生は学校卒業後ほとんどが帰国するが、私費留学の中には日本で就職する人々がいる。日本人には同窓生や仲間や親戚とのつき合い等があり、会社の中でも人とのつながりがあるが、元留学生達には、そういう人間関係がない。バザーと交流会は日本に親戚、知人のいないものには支えとなる。特に来日したばかりの人にはありがたい。
- 徐さん(男)一サラリーマンになって5年、後輩の留学生とのつながりはない。妻を通して交際の輪を広げている。
- 李さん(男)一名古屋に留学。就職して横浜に来たが、友人が一人もいなかった。まんまる会を知り、バザー、ハイキング、クリスマス会などに参加。
- 廖捷凡さん(男)一就職して二年。「広東語友の会」を主催している。池袋では中国の若者に人気のダンスパーティーが開かれているが、横浜でもやりたい。

10年間で変わってきた中国人留学生の事情(廖隆幹氏の調べによる)
留学生に関するデータ: 来日留学生・就学生人数
1983年1万人未満
1988年4万人超(内就学生3万人以上)
1995年約2万人(内就学生9,928人)
動向:1996年10月24日入管は全国約250校の日本語学校の経営者を集めて会合を開き、「身分保証書」廃止を発表。
以上は発言のほんの一部ですが、浮かび上がってきたことは、生活面では大分ゆとりが出てきたが、その反面、精神面では孤独感やストレスに悩まされる度含いも増したという事実てす。これらを踏まえて今後の活動の方向性を探ると、従来以上に”心の交流”が大切になってくると思いました。更に元留学生である社会人をも視野にいれた企画も必要でしょう。若者らしい楽しさを求める気持ちも汲み上げるべきです。今年の年間計画には、ビヤ・パーティー等も入れました。バザーは規模をやや縮小して秋に行う予定です。資金面では苦しくなることが予想されますが、会員の持ち寄りと、会費の値上げで、しのごうとの合意を得ました。「まんまる会」はもともとお金も力もないフツーの主婦の集まりで出発しました。現在に至っても活動自体微々たるものですが「継続は力なり」の言葉を信じてこれからもやって行きたいと思います。皆様の温かいご支援が何よりの励みとなります。
まんまる会十周年へのごあいさつ 廖 隆幹
先ずは、まんまる会創立十周年おめでとうございます。
長い間、多くの留学生が精神的、物的に大変お世話になりましたことにつきまして、心から感謝の意を申し上げます。
人助けをするは、二つのタイプがあります。「雪中送炭〈雪中炭を送る)」と「錦上添花(錦ヒ花を添う)」です。「雪中炭を送る」とは人が一番困っっている時に助けることをいいます。「錦上花を添う」とはよりよくなるために、人助けをすることをいいます。今まで、まんまる会が留学生になさってきたことは、まさに前者であり、またそれは、体だけが暖まる「炭」でなく、心まで暖まる「炭」でもあったのです。
今、私ども貧乏学生は学校を卒業して職に就ぎ、人並みの生活を送るようになりました。また多くの人は国に帰り、重役に就いている人もいます。しかし、一番寒い雪の中でもらった「炭」は忘れがたいものがあります。それは何時になっても、励みになり、また日本の皆さんのために何かしたいという気持ちにもなります。その後、まんまる会から手紙や通知を多く頂いておりますが、毎回もらった時はうれしいです。通合さえづけば行きたいと思っていますが、ついつい貴重な機会を見逃しまっています。今後も何かありましたら、是非声を掛けてください。また何か役に立つことでもありましたら、おっしやってください。
最後には、まんまる会の今後の一層のご発展への期待を込めて、改めて感謝の意を申し上げます。
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廖陸幹さんは、まんまる会発足当初から深く係って下さったかたです。東大大学院史学科在学中、「中国私費留学生互助会」を組織され、まんまる会のバザーに多くの会員を誘って参加されました。現在は実業の世界で活躍され、日中友好の掛け橋となっておられます。
「留学生と語る会」に参加してくださった若い就学生の女性、ルーさんが、最近の学生生活の様子を書くいて送ってくれました。現在、千棄県で、大学に入るための勉強をしています。
日本での生活 戸情
私は勉強するために今年(1996年)の四月に日本へ来ました。そろそろ八カ月くらいになります。自分の国ではない国で一人で生活するのは本当におもしろいですけど大変です。
来たばかりの時、日本語が下手だったからいろいろ困ったことがありました。ほかの人に笑われた事もいっばいありました。早く日本の生活に慣れるために私は毎日勉強したり、アルバイトしたりしています。アルバイトは疲れますが自分の人生経験とか日本語の練習とかには本当に良い事だと思います。一緒に仕事をしている人も学校の先生もやさしくて私はいつもいろいろお世話になっています。
日本はやはりすすんだ国ですから私達外国人が生活するのに便利です。たとえば、自動販売機とかスーパーとか本当に便利で言葉を使わなくても困りません。でも日本の物価は世界で声一番高いです。これは私にとって一番困る問題です。でも私はまだわかいですから何でも自分で出来ると思います。これからもっと頑張ります。日本の空気は本当にきれいです。これが私は大好きです。私はいつも毎自早朝のきれいな空気を吸いながら学校へ勉強しに行きます。四時間の勉強をしてから会社へ仕事をしに行きます。一生懸命仕事をして本当に疲れます。仕事が終ったら早く家に帰って自分で作るおいしい料理を食べて、勉強してすぐ寝ます。毎日毎日忙しいですがおもしろくて充実した日です。
今友達もいっばいできました。暇な時みんなと一緒にどこかへ遠足に行ったりいろいろと話したりします。この間日光へ行きました。黄色い落葉、紅葉と小さい川がすごくきれいでした。とても良い思い出になりました。今は来たばかりよりずっと自信を持って毎日生活しています。でもまだわからないことが沢山あるので日本の生活に完全に慣れてはいません。もっといろいろな勉強が必要ですからこれからも頑張ります。
編集後記
十年一昔と言いますが、まさに中国においてこの干年間は急激な変化がありました。まんまる会始まって十年、今までの活動を見直すよい機会になりました。これからの活動に向けてたくさんのご意見をお寄せいただきましてありがとうございました。寄せられた原稿は、ほぼ原文のまま掲載させていただきました。
尚、この特集を読まれて、これからの会の内容に良きアイディア、アドバイスなどありましたら、どんどんお寄せ下さい。みなさんのご希望をできるだけ反映させていきたいと思っております。
ご意見の送付先:〒244横浜市戸塚区品濃町515−1南の街4‐1004
丸谷士都子Tel&Fax 045−824−9459
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御意見をお寄せ下さい。 丸谷士都子@まんまる会 |