第7回 「まんまる会夢叶えますキャンペーン」報告書

「岡山の小学校へ本を贈る」
子供の頃学んだ日本の母校の子供たちの幸せを願って
2011年3月20 日〜28日



桜美林大学 ビジネスマネジメント学群
中国留学生
傅  陽秋




報 告 書
[ 初めに ]

 この度は、大変お世話になりました。おかげさまで、母校へ本を贈る夢が叶いました。

 元企画では、4月16日と4月17日に岡山に行き、母校である御野小学校を訪問し、子供たちに本をあげる、そして子供たちと交流する予定でした。また、恩師(藤井佐代子先生)や、元クラスメイト(今井さん)との再会の予定もありました。貴会からいただいた指導とサポートの後、本を贈るために使うお金は、自己負担としました。交通費と食宿費は、貴会から4万円―4万5千円の支援金をいただけることができるとのことでした。

 まんまる会からのサポートは2010年11月6日から始まりました。私は、初めの時は、どのように母校に本を送ればよいのか全く知りませんでした。少しでも母校のお手伝いができたらいいなと思っていましたが、このような活動は、母校にとってお手伝いになれるか、それとも迷惑になってしまうのか、予想ができませんでした。私の夢を、貴会のサポートのもとで、少しずつ完成に近づくことができました。

先生のアドバイスの下で寄贈できた本

[ 企画の遂行 ] 

 最初は、恩師と連絡を取ることから始めました。恩師は今現在御野小学校の先生ではありませんが、御野小学校の校長先生(祖田文明先生)とは元仕事仲間でした。恩師が毎日仕事で忙しい中、積極的に祖田先生と連絡を取ってくれていただけたため、短時間内で母校から企画の了承を貰えました。また、貴会から母校に手紙を送っていただきましたことも、大きな応援となりました。

 次は、本を購入することでした。貴会から企画書合格のお知らせをいただいた後、本を購入するためのお金5万円を、1月25日に母校の祖田先生宛に送りました。祖田先生はすでにこのお金を使って、書籍リストにある新版『行ってみたいなあんな国こんな国』の

1〜7冊(合計23,940円)を購入しました。また、私の希望により、日中交流に有意義な本を送りたかったです。藤井先生のアドバイスをいただき、漫画版の三国志(多分合計およそ2000円)を購入することに決めました。私は、現在御野小学校の教育費がカットされたことを知った後、やはり母校の教育計画を優先して、子供たちが好きな本を買った方が、子供達のためになれると思い、余ったお金は、先生が教育のために必要な本を決めて購入してくださいと、先生に伝えました。本を購入完了、通知されましたのは、2月23日でした。

 それからは、卒業論文提出や大学院入学試験などに忙しかったため、3月に入り今回の地震が発生した最近までは、連絡を取っておりませんでした。地震が発生した後、僕の安否に関することだけの連絡を、先生と当時のクラスメイトからいただいておりました。

[ 地震、企画変更 ]

 しかし、3月11日の東日本大震災が発生しました。毎日中国にいる両親、親戚、友人に大変な心配をさせてしまったため、勝手ながらも、企画書を変更することになりました。3月20日から3月27日までの間、岡山県に行くことにしました。このことについて、私から小野京子さんへの報告は、突然なものでした。小野さんや皆様にも、不便をおかけしてしまったと思います。申し訳ございませんでした。それでも、貴会の皆様から応援とサポートをいただけることができまして、誠に感謝しております。

 3月20日、ちょうど私が新宿で夜行バスの出発を待っていた時に、小野さんからの応援の電話をいただきました。今でも、とても感動しています。また、岡山市に滞在した間、まんまる会の皆様からメールで応援のお言葉をいただきました。心より感謝しています。

[ 母校にて ]

同じ体育館で、違う気持ちで


 3月25日、祖田先生から、母校の修了式に招待されました。再び母校に帰り、懐かしい思い出があふれるばかりでした。元気で、笑顔の子供たちを見ると、自分も子供に戻った感じがしました。

修了式の最後に、先生に紹介されて、私は、学生代表に本を渡した後、5分過ぎない時間のお話しをしました。私の話の内容は、自己紹介、本を贈る理由、母校と恩師に感謝の気持ち、子供達みんなも母校を大切に思って欲しい願い、でした。初めて、自分より10歳以上も幼い子供にお話しをするので、何をどのように話したら、うまく理解してもらえるのか分かりませんでした。話がつまらないと思われたら終わりだと思っていました。

でも長い修了式の最後にも関わらず、みんな静かに座って話を聞いてくれていました。子供達の礼儀正しさと母校の教育力にとても感心しました。

本の贈呈式

 次に、祖田先生が購入した本を見せてくださいました。母校に、16年間伝えられなかった、感謝の気持ちを伝えることができて、本当に光栄な嬉しいでした。また、生まれて初めて、社会に少し貢献ができたな、留学してよかったなという気持ちもありました。また、16年前の教員全員の記念写真を見せていただきました。16年間ずっと心に残っている、懐かしい恩師4人の素顔を見ることができました。

 そして、私は母校の廊下を歩きながら、教室を見回っていました。一つの一年生の教室前を通る時、一番ドアに近い男の子が私を見て、突然先生に叫びました:「先生、さっき本を贈った人が来た!」それを聞いた子供達が、急に一斉に私のところへ走って来ました。私を囲んでいる、元気で親しい子供達は、本当にかわいいと思います。私は、みんなと握手をして、先生に招かれその教室に入りました。みんなに「はじめまして、どうぞよろしくお願いします」と言ったら、みんな大きな声で一斉に挨拶してくれました。少し会話をした後、授業の邪魔にならないため、子供達と「バイバーイ」を交わしました。

教室にて子供たちと挨拶

今回の母校への訪問は、私にとって大切な宝を見つけることができました。

[ 恩師、クラスメートとの再会 ]

 3月26日、私は恩師の藤井先生と食事をしました。先生は毎日学校の仕事があるため、昼休み時間を犠牲にして、私と食事をしてくれました。恩師は、私が好きな和食を御馳走してくれました。私がうどん、刺身、天ぷらが大好きと知った先生は、ちょうどそのようなセットがあると教えてくれたおかげで、とても満足しました。藤井先生は、20代よりも元気がいっぱいな先生です。とても優しい、親しい、私の大好きな先生です。今回の東日本大震災があったことで、私のことをとても心配していました。私が岡山市に行ったことを知り、先生はお米、野菜を持ってきてくれました。また、私が必要としていた洗濯剤もくれました。私は、もう子供ではないのに、まだ先生にお世話して貰っていることが、とても恥ずかしかったです。

 3月27日、私は元クラスメイトの今井家に招かれました。3月29日は、ちょうど今井さんの誕生日なので、誕生日ケーキをプレゼントしました。私が日本に来て以来、いつもお世話になっている方達です。食べ物や薬など、今井家からいつも贈っていただいてます。私の大学卒業式のために、わざわざネクタイとネクタイピンをプレゼントしてくれました。卒業式が中止になって、ネクタイとネクタイピンを使えないことが、とても残念だと思いました。3月11日の大地震が発生した後、ほぼ毎日私の安否を心配してくれた方達です。私が関東に戻る前日でしたので、関東が当時買い物不便があることを知った今井さんは、食べ物を沢山くれました。今井家は、16年前留学していた両親の恩人であり、現在留学中の私の恩人でもあります。これからもしっかりと知識を学び、いつかこのご恩を返せるような人になりたいです。

 3月28日、企画が順調に進んだことで、とてもうれしかったです。当時は、まだ原発問題が重大でして、私の友達も大勢中国に帰ったところでした。しかし私は、もう遺憾はない、関東に戻って報告しようと思い、多分その時の嬉しさに満たされて、帰りは思いっきり一番早い新幹線に乗ることにしました。

 岡山で過ごした1週間は、あっという間に過ぎましたが、その嬉しさは今でも感じています。とても満足しました。

[ 終わりに ]

 まんまる会は、とても素晴らしい団体だと思います。私たち未熟で、夢はあるけど能力が足りない留学生のために、いろいろな親切で細かいサポートと支援を与えてくれました。私もまんまる会の「夢かなえますキャンペーン」に参加できて、とても光栄です。異国他郷で、一人で勉強と生活をする私たち留学生にとって、誰にも叶えられない夢があると思います。それを無料にかかわらず、細かくサポートしてくれることは、とても素晴らしいことだと思います。20年以上も前から、日本が僕の両親や、世界各国の学生が憧れている国になれたのも、まんまる会の皆さまのような優しい日本人が大勢いるからだと思います。

 私は幼い時から、学術を夢中にする両親の姿を見てきました。私がまだ生まれていない頃から、勉強が好きな両親にとって、日本に留学することは夢のようなものでした。私は、そのような両親がいるおかげで、日本を子供の頃から大好きであり、憧れていました。

 日本に来て以来、物事の考え方、人との交流、生活習慣、勉強方法などに体験があり、本当に沢山の新しいことを経験しました。自分でも、この2年半特に精神面での変化を感じることができます。例えば、日本に来て、アルバイトを経験して、初めて親が留学していたころの苦労を知りました。今まで親のお金を使った私は、日本に来て、頑張って稼いだお金を使うことで初めて、真の愉快と達成感を感じました。今まで一度も「疲れた」と言わなかった、私を今日まで育ててくれた親を、これからは私が支えていけるように頑張ります。


 この度、まんまる会の「夢叶えますキャンペーン」を経験することができたことを、心より感謝、感謝、感謝です。

祖田先生と本の前で

傅 陽秋           
   2011年4月14日